3月に読んだもの
旅行に行っていたので量は普段より抑え目。
果たして来月以降どうなるのか…
<漫画>95冊
浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」(4)
荒川弘「百姓貴族」(4)
イトカツ「銀のニーナ」(1)
迂闊「のみじょし」(1)
榎本俊二「GOLDEN LUCKY」(上)(中)(下)
おかざき真理「ずっと独身でいるつもり?」
尾崎かおり「人魚王子」
小田扉「男ロワイヤル 」「そっと好かれる」
加藤伸吉「OBRIGADO!」
カレー沢薫「アンモラル・カスタマイズZ」
木尾士目「Spotted Flower」(1)
木多康昭「幕張」(1)〜(9)
小坂俊史「これでおわりです。」
さと「空想少女」(1)
佐藤秀峰「新ブラックジャックによろしく」(1)~(9)
沙村広明「ブラッドハーレーの馬車」 「おひっこし」「幻想ギネコクラシー」
三部けい「魍魎の揺りかご」(1)「鬼灯の島」(1)
施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」(1)(2)
縞野やえ「服を着るならこんなふうに」(1)(2)
志村貴子「かわいい悪魔」「淡島百景」(1)「どうにかなる日々」(1)(2)
鈴木小波「魔女の箱庭と魔女の虫籠」「盛り合わせガール」「燐寸少女」(3)「ホクサイと飯さえあれば」(1)(2)
高田あや「カルト村で生まれました。」
武富健治「心の問題」
つくしあきひと「メイドインアビス」(1)〜(3)
野田サトル「ゴールデンカムイ」(6)
萩尾望都「恐るべき子どもたち」
鳩山郁子「ゆきしろ、ばらべに」
日辻彩「突撃!自衛官妻」(1)〜(3)
古屋兎丸「インノサン少年十字軍」(上)(中)(下)
マキヒロチ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(2)
南勝久「ザ・ファブル」(5)
三宅乱丈「王様ランチ」
横尾公敏「百人の半蔵」(1)
よしながふみ「愛がなくても喰ってゆけます。」
<小説>4冊
筒井康隆「邪眼鳥」「文学部唯野教授のサブ・テキスト」「魚籃観音記」
中村文則「何もかも憂鬱な夜に」
・ピックアップ作品
今月のベストです。ハードな美意識に身を包み、ルーズに社会を生き延びていく冴えない私立探偵の物語。男気純度100%の作品。今まで「ハードボイルド」というものがどういうものかピンと来てなかったのですが、このページで本質を理解したような感じがある。
(かわぐちかいじ・狩撫麻礼「ハード&ルーズ」2巻、177ページ)
ともかく全ての台詞が異常なレベルでキマっています。
魔法少女ならぬ「魔法主婦」の話や、「大人になると動物に姿が変わる世界で自分の容姿に悩む女子高生」の話など、「少しだけ不思議な世界の中で生きる女の子」がテーマのオムニバス短編集。前作「フラグタイム」で割と硬派な百合モノを書いていた「さと」先生でしたが、実はギャグ漫画の方が得意なんじゃねえか?と思わせてくるほどには爆笑の嵐でした。
第1話がChampionタップ!で読めます。
「読書家に見られたい」という願望があるが根性が腐っている女子高生・町田さわ子が織りなす、「名著」にまつわるショートギャグ会話劇。「マニアのめんどくささ」と「本への愛」、「読書家に対する憧れ」、その他名著名言のエピソードがコミカルに描かれます。
一番共感して笑ったのは、「ページ数が少ないから」という理由で谷崎「春琴抄」に挑戦した町田さわ子の叫び。
(施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」2巻、81ページ)
個人的には、町田さわ子のスノッブな言動を見て「こういう事を考えながら読書をしたっていいんだ!」となんか励まされました。そういう意味でとても心に優しい作品でした。
先日取り上げた「燐寸少女」の鈴木小波先生の作品です。上京した女子大生・山田ブンとぬいぐるみ・ホクサイのアイディアたっぷり自炊飯生活を描いたお話。「ガパオライス」「世界一のクッキー」「ナスば成る夏野菜ラーメン」などどれも死ぬほど美味そう。ていうか自炊楽しそう、となること請け合いです。
ところで鈴木小波先生の一枚絵の「良さ」は異常じゃないですか?魚眼パース絵っていうんですかこういうの。
(鈴木小波「ホクサイと飯さえあれば」2巻、40・41ページ)
葬儀屋の青年・神風航の不思議な旅物語を描いた作品。バイク事故で意識不明となり3年後に目覚めた主人公は、眠っている間に街に現れた「王国」に行くことになり、そこで様々な不思議な体験をします。
全体的に非常に斬新な構図が目を引く、ミステリアスな雰囲気のマンガです。
ところで、良い旅物語の条件として「登場する食い物がうまそう」というのがあると思うのですが、
(竹谷州史・須田剛一「暗闇ダンス」1巻、108・178ページ)
「キャベツキムチ焼きそば」「舞茸鶏団子塩ラーメン」です。どう考えてもうまそうですね。困ったもんです。
「歴史上の偉人の魂」を武器に変えて怪獣と戦う、SFバトル作品。久正人先生の絵は全部が全部おっそろしくカッコいいですね。そのくせ話も同レベルで良くできているという。「歴史上の偉人」という要素を取り込むのは「ドリフターズ」と似ていますが、こちらは愛と友情を凄く綺麗に描いた少年漫画(主人公は少女だけど)と思います。
よく「コンパクトにまとまっている傑作」として水上悟志先生の「惑星のさみだれ」の名前が挙がりますが、「ノブナガン」も同じくらいおすすめされてよい作品なのではないでしょうか…(全6巻だし…)。
ところで、このブログは一応「説明」と「感想」の練習のために始めたものなのですが、今回から説明をしっかりつけようと思いました。読みやすい文章が書けるようになりたいので、もしよければなにがしかの反応を頂ければと思います。
2月に読んだもの
冷え症になったような気がします。
2月
<漫画>133冊
荒木光・金城宗幸「僕たちがやりました」(1)~(3)
有永イネ「鬼さん、どちら」
安藤ゆき「町田くんの世界」(2)
五十嵐健三「匿名の彼女たち」(1)~(4)
石川雅之「テシェキュルエデリム~ありがとう~」
石川優吾「ワンダーランド」(1)
石黒正数「ネムルバカ」
泉昌之「食の軍師」(1)~(4)
伊野ナユタ・阿部定治「デリワゴン」(1)
今賀俊「爆球連発!!スーパービーダマン」(1)~(15)
梅サト「緑の罪代」
うめざわしゅん「うめざわしゅん作品集成 パンティストッキングのような空の下」
浦沢直樹「MASTERキートン:Reマスター」
衿沢世衣子「シンプルノットローファー」
大瑛ユキオ「ケンガイ」(1)~(3)
大川ぶくぶ「ポプテピピック」
大澄剛「千代に八千代に」
大西巷一「涙の乙女」
沖田×華「透明なゆりかご」(1)(2)
尾崎かおり「神様がうそをつく。」
押切蓮介「ピコピコ少年」「ピコピコ少年TURBO」「ピコピコ少年SUPER」
小田扉「ちょっと不思議な小宇宙」「江豆町 ブリトビラロマンSF」
河本ほむら・尚村透「賭ケグルイ」(1)
木多康昭「喧嘩稼業」(1)~(5)
牛帝「同人王」
王欣太「達人伝~9万里を風に乗り~」(1)~(6)
倉薗紀彦「彗星☆少年団」
小林有吾「アオアシ」(1)~(4)
しおやてるこ「たまりば」(1)(2)
しまたけひと「アルキヘンロズカン」(上)(下)
涼川りん「りとる・けいおす」(1)(2)
関谷あさみ「千と万」(1)(2)
たかぎ七彦「アンゴルモア 元寇合戦記」(5)
高野雀「さよならガールフレンド」
高野文子「黄色い本」
たかまつやよい「流されて八丈島~マンガ家、島にゆく~」
武富健治「掃除当番」
丹羽庭「トクサツガガガ」(1)~(5)
津覇圭一・作元健二「終末の天気」(1)(2)
中野でいち「十月桜」
橋本智弘・三好智樹・萩原天晴「中間管理職トネガワ」(1)
深沢かすみ・高田郁「ふるさと銀河線 軌道春秋」
フクイタクミ「百足-ムカデ-」(1)
ふみふみこ「さきくさの咲く頃」
盆ノ木至「吸血鬼すぐ死ぬ」(1)
マキヒロチ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(1)
昌原光一「江戸の告白」
眉月じゅん「恋は雨上がりのように」(4)
南勝久「ザ・ファブル」(1)~(4)
武蔵野創「灼熱カバディ」(1)
模造クリスタル「ビーンク&ロサ」
安永知澄「あけぼのソックス」
山岸涼子「レベレーション-啓示-」(1)
山口正人「龍の進撃」「任侠沈没」(1)~(3)
吉田貴司「フィンランド・サガ」(1)~(3)
よしむらかな「MURCIELAGO ームルシエラゴー」(1)
柳本光晴「きっとかわいい女の子だから」「響~小説家になる方法~」(1)~(3)
<小説>3冊
伊藤計劃「ハーモニー」
<映画>
「銀杏BOYZ 愛地獄」
「ヤクザと憲法」
「ストレイト・アウタ・コンプトン」
良かった作品を適当に掻い摘んで紹介します。
全体を通じて、「ビー玉を人に当ててはいけない」「でもだからと言って排外主義になってはいけない」というメッセージが貫かれており、娯楽としてだけではなく教育的な意味においても良くできているなと思いました。
とりあえずヒロインが非常にかわいいのはさておき、日本サッカー界のユースについていろいろわかるのと、あとブワっとフィールドに視野が広がるときの描写が気持ちいいです。普段は運動なんぞ死ぬほどしたくないですが、これを読んだ後はやりたい気持ちになってくる。
絵が非常に好きで、話も救われる気持ちって感じで本当に良かったです。でいち先生のツイッターのエッセイ漫画もとても楽しみにしています。早く「hなhとA子の呪い」を単行本で読みたいです。
今月読んだ中でも最も震えた作品。人の表情が多彩な描かれ方をしていてかっこいい。最後の部分で「人は変わらず、社会は変わる」みたいな雰囲気を出しているのが、歴史物語のロマンを凝縮してる感じがしてとても良いなあと思いました。
ただ単にカバディを物珍しいスポーツとして題材にしているだけでなく、チームスポーツの醍醐味やカバディというスポーツの本質まで踏み込もうとする姿勢を感じました。これも読むと運動したくなってくる。
武富先生と安永先生の作品は、とても個人的な体験や思考をわかりやすくマンガとして表現することで、人が「個」であることを肯定してくれているように思います。それがとても優しく感じられます。
天才すぎる。スペシャル版をどうにかして買いたい。
伊藤計劃ってこんなすごい人だったのかという感じです。巻末の佐々木敦さんの解説も伊藤計劃さんについて腑に落ちる情報テンコモリでありがたいです。全体的に自分がいつも考えていることについて書かれていて、今読むべくして読んだのだと思います。
今月も充実しました。いい気分です。
『燐寸少女』:読解力と情熱への敬意の話
人は他人と自分を比べてしまうという事を良くしてしまうものだと思います。みうらじゅんの言葉で、「現在の自分を、友人・親・過去の自分と比較してはいけない」という箴言(通称「比較三原則」)を聞いたことがありますが、比べてばかりいる事の危険性は誰にとっても当てはまるものです。それでも僕は毎日自分のダメなところを強調しては他人と比べて落ち込むというのをしょっちゅうやってしまいます。まあ暗い性格だとは思いますがそれも自分です。そうやって日々を生きていくのです。
僕は最近になって漫画を読み始めるようになりました。以前から漫画を読むことは好きだったのですが、自分から漫画を積極的に買うようになったのはここ最近です。毎日のようにモリモリと漫画を読む今のこの生活はなかなか楽しいものです。ですが、どんな漫画を読んでも胸を張って「最高だった」と叫びたくなるほどの感動が得られるという訳でもありません。もちろんほとんどの作品は「面白いなあ」と思わせてくれるものばかりで、日本の漫画界のレベルの高さには本当に驚いてしまうのですが、やはり時々作品を読んでも内容が良くわからなかったり、自分の中でうまく解釈できなかったりしてもやもやを抱えてしまうといった事があります。
漫画を読み始めてみて、いろいろどんな漫画がいいのか調べようとすると、この現代社会には本当に多くの漫画好きがいることがわかります。どの人も漫画がとても大好きで、沢山の漫画を買って、沢山の感動を漫画から受け取っているようです。(もちろんケチつけている人も同様にいっぱいいますが。2ちゃんねるにいる人とかはちょっとケチつけ過ぎじゃないでしょうか?)
そうした人々の発言をTwitterとかで見ていると、特に自分が読んでもやもやを抱えて
しまった作品を絶賛している人の声を聴くと、「みんなとても漫画の読解力が高いのだなあ」と思って、少し落ち込んでしまいます。ひょっとしたら別にそんな楽しくなかったのになんとなく面白かったと思いこもうとしているだけの場合もあるのかもしれませんが、まあそういうのは置いておくとして、とにかく自分の読解力の無さに少々絶望してしまいます。自分はあまり「良いマンガ読み」では無いのかもしれない、と考えると、「果たして自分が漫画を読むことに意味はあるんだろうか?」なんて思ってしまったりもします。
今週のジャンプ(11号)で、吾峠呼世晴先生の『鬼滅の刃』という新連載の漫画が始まりましたが、僕はこの作品を読んで、最初は「ジャンプにしては淡々としていて地味だなあ」とか、「1話だけじゃよくわかんないなあ」などと思いました。ところがツイッターを見てみると、『タケヲちゃん物怪録』のとよ田みのる先生や、『ホクサイと飯さえあれば』の鈴木小波先生が「ジャンプの新連載やばい」「1話にして異能を感じる」などと盛り上がっていたのでした。恐らくとよ田先生や鈴木先生は大変「良いマンガ読み」なのであって、僕よりもたくさんの良さを『鬼滅の刃』という作品から読み取ることが出来たのだと思います(漫画家の先生が「良いマンガ読み」なのは至極当然なことではありますが)。
もし自分の読解力が人に劣っているならば、漫画家の先生たちのような素晴らしいマンガ読みの人たちがマンガから得られる感動を、自分はどうやっても手に入れることが出来ないならば、僕には漫画好きと言える資格はないのではないでしょうか。いや、漫画好きの資格ってなんだよクソが、って感じもしますけど、僕のこのもやもやをいくらか含んだ漫画体験はゴミクズみたいなものなのではないか、とか思ってしまう日々なのでした。
さて、去年の年末にKindleでKadokawa系列の作品が大量に値引きされていたので、とりあえず50冊ほど買ったという事があります。その中の一つ、鈴木小波先生の『燐寸少女』の中の「甘い努力」という話を読んで、こうした気持ちが少しく浄化された部分がありました。
鈴木小波先生の『燐寸少女』は、使うと思っていたことが具現化する「妄想マッチ」を巡って、自分の欲望に振り回される人々の姿を描いた作品です。欲望を急速に現実化してしまう妄想マッチによって、人の心の醜い側面が暴かれていく、それがどれも身につまされて、読んでてとてもヒリヒリした心地になります。
(鈴木小波『燐寸少女』2巻、1ページ)
2巻に収録されている第7話「甘い努力」という話は、パティシエとしてケーキ屋さんで修業中の安木という青年が主人公になっています。
(鈴木小波『燐寸少女』2巻、29ページ)
彼は過去に陸上を頑張ったけど報われなかったという経験から、努力を嫌悪する性格をしています。また、彼のケーキ屋の同僚に高山という男がいるのですが、彼は安木とは正反対に、愚直な努力を重ね、パティシエとしての実績を少しずつ着実に積み重ねています。
(鈴木小波『燐寸少女』2巻、6・7ページ)
ある日、ふとした事情から「妄想マッチ」を手に入れた安木は、マッチを使って「努力せずに成功したい」という欲望を叶えます。具体的には、彼の自作のケーキがなぜかコンペで高い評価を受けるようになったのでした。一方で、安木は高山の愚直な努力に対して嫌悪感を抱いていたので、マッチの力で高山のケーキが悪評価を受けるようにしてしまいます。
ある時のコンペで、ケーキ作りがうまくいかない高山に、ケーキ屋の店長が店をもう辞めろと言い放ちます。安木は、初めはそれを聞いて動揺する高山をほくそ笑みながら眺めていたのですが、涙で顔面をぐしゃぐしゃにしながら「お菓子を作りたいんです」と叫ぶ高山の姿を見て、安木は突如悟ったのでした。
「ああこいつのは努力じゃないんだ
恥を捨てられるほどの苦しさを乗り越えられるほどの
努力と感じないほどの 熱情なんだ
うらやましい」(鈴木小波『燐寸少女』2巻、35ページ)
「高山の情熱に自分は敵わない」という事実に気が付いた安木は涙を流します。
安木はその後マッチを使うことをやめるのですが、一方でケーキを作ることはこれからもやめないという決断をします。
「俺は鎧を脱いで走ってみる
そしていつかきっと踏みつぶされるメレンゲのようにぺシャッと 泣き虫の巨人に
その時笑っていられるかは また別の話」(鈴木小波『燐寸少女』2巻、37ページ)
安木は自分のケーキ作りの情熱が高山に敵わないことに気づいています。では、なぜ安木はマッチを使うことをやめてしまったのでしょうか?そして、なぜそれでもケーキを作り続けようとすることができるのでしょうか?
それはたぶん、安木が何か一つの事に捧げる「情熱」というものに対して、強い敬意を抱いているからなのだと思います。かつて陸上に情熱を捧げながらも夢破れた彼は、報われない可能性がある「努力」を厭になってしまっても、おそらく情熱を捧げること自体の価値は、心の奥底で強く信じていたのでしょう。高山が持つ「ケーキ作りへの情熱」に対しても、例えそれが自分を脅かすものであっても、敬意を抱かずにはいられなかった安木の気持ちを、僕はとても美しいと思いました。
そして安木がこれからもケーキを作り続けるという事は、例え自分の持つ情熱が高山のそれに比べてはるかにちっぽけなものであろうとも、確かな熱量を持った情熱が自分の心の中に存在する限り、それを大切にしようと決めたという事なのだと思います。なぜなら、自分が心の中に持つ情熱を大切に出来るのは、世界でたった一人、自分だけだからです。
僕はまだまだマンガ読みとしては未熟かもしれません。しかし、それでも数々の作品を読んで、腹を抱えて笑ったり、涙を浮かべたり、胸がドキドキして苦しくなったりして感動したのは事実です。その感動がたとえ人と比べたらちっぽけなものだったとしても、僕が持つ、僕だけが心に抱いているこの感動を、情熱を、絶対に大切にしようと思ったのでした。
『燐寸少女』を読んで、僕はこんなことを考えました。皆さんは何を考えましたか?僕は、自分が考えたことを文章にすることで、僕の情熱と感動を、もっと大切にしていきたいと思っています。これからもやっていきたいですね。
『燐寸少女』の3巻もそろそろ発売されるようで、とても楽しみにしています。
鈴木小波先生、実写映画化おめでとうございます。
12月・1月に読んだもの
1月
<漫画>120冊
阿部洋一「橙は、半透明に二度寝する」(2)
新井英樹「キーチVS」(6)~(11)「なぎさにて」(1)
安藤ゆき「町田くんの世界」(1)
泉昌之「かっこいいスキヤキ」
いましろたかし「盆堀さん」
大月悠佑子「ど根性ガエルの娘」(1)
大澄剛「このゆびとまれ」(1)~(3)
片山ユキオ「花もて語れ」(1)~(13)
唐沢なをき「マンガ家総進撃」(1)~(3)「まんが極道」(1)
恵三朗・草水敏「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」(1)~(4)
小池桂一「HEAVEN'S DOOR」
コトヤマ「だがしかし」(4)
近藤ようこ「五色の舟」「宝の嫁」
佐々大河「ふしぎの国のバード」(1)
沙村広明「波よ聞いてくれ」(1)
しりあがり寿「方舟」
鈴木小波「ホクサイと飯」「燐寸少女」(1)~(2)
たかぎ七彦「アンゴルモア 元寇合戦記」(1)~(4)
田亀源五郎「弟の夫」(1)(2)
竹良実「辺獄のシュヴェスタ」(1)(2)
田辺剛・カリブsong「サウダージ」
土山しげる「怒りのグルメ」
羽生生純「ワガランナァー」
永田礼路「螺旋仕掛けの海」(1)
野田サトル「ゴールデンカムイ」(5)
松田洋子「私を連れて逃げて、お願い。」(1)(2)
眉月じゅん「恋は雨上がりのように」(1)~(3)
丸尾末広「瓶詰の地獄」「芋虫」「パノラマ島綺譚」
丸山薫「ストレニュアス・ライフ」
水木しげる「私はゲゲゲ 神秘家水木しげる伝」「水木しげるのニッポン幸福哀歌」
三好銀「海辺へ行く道 夏」
室井大資「ブラステッド」(1)(2)
百名哲「冬の終わり、青の匂い」
安永知澄「あのころ、白く溶けてく」「やさしいからだ」(1)~(3)
山田参助「あれよ星屑」(1)~(4)
山本直樹「学校」
横山旬「白い狸 横山旬作品集」「変身!」(1)(2)
<小説>10冊
阿刀田高「ナポレオン狂」
井上ひさし「喜劇役者たち」
筒井康隆「文学部唯野教授」「日本以外全部沈没 ~パニック短編集~」「残像に口紅を」「おれに関する噂」「エロチック街道」「くたばれPTA」「東海道戦争」「夢の木坂分岐点」
12月
<漫画>44冊
青山景「ストロボライト」
阿部共実「死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々」(1)(2)
阿部洋一「阿部洋一短編集 オニクジョ」
イシデ電「逆流主婦ワイフ」(1)
ウラモトユウコ「彼女のカーブ」
岡崎二郎「大平面の小さな罪」
九井諒子「ダンジョン飯」(2)
コトヤマ「だがしかし」(1)~(3)
桜玉吉「漫喫漫玉日記 深夜便」
高田築「野ばら」(1)(2)
田辺剛「魔犬 ラヴクラフト傑作集」
中山ホメオパシー「抱かれたい道場」「もっと!抱かれたい道場」
日本橋ヨヲコ「粋奥」
松浦だるま「累」(6)(7)
松田洋子「好きだけじゃ続かない」
水あさと「宮田書店にようこそ! 水あさと短編集」
宮崎夏次系「変身のニュース」
森泉岳土「耳は忘れない」
柳本光晴「女の子が死ぬ話」
<小説>8冊
筒井康隆「虚構船団」「虚人たち」「ヨッパ谷への降下」「家族場面」
向田邦子「思い出トランプ」
この2か月は、卒論とかが忙しくてあまり量を読めませんでした。
なお、面白かった作品はありすぎるので逐一挙げませんが、
適当に数個取り上げるならば
町田くんの「人を愛する才能」に嫉妬しつつも、実にカッコいい生き様に惚れました。いつか町田くんのように、とても優しい人間になりたいです。
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この1年で最も泣いた作品。特に12巻は完全に強制号泣装置だと思います。「自分の人生を救うために、とりあえず漫画読もう!」と決心するきっかけになりました。
江戸時代において儒教がどんな立ち位置を占めていたのか、の話が興味深く、各々のキャラクターが自らの「義」のために苦悩する姿もとても素晴らしいです。
今のジャンプで最も面白い作品だと思います。バトル漫画の極北(と勝手に思っている)。
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読んだ瞬間、「あ、自分岡崎先生の作品全部好きだ」と確信しました。
「後味が悪い作品」がとても好きなのですが、この作品は単なる露悪趣味に陥ることなく、一人の「死」を誠実に丹念に描いているのがとても良いと思いました。自分の中ではなんとなく町田康の「告白」と同じカテゴリに入るのですが、なんというカテゴリなのかよくわからない。
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「8304」「7759」の2編に完全に殺されました。言葉にできない。
アカデミズム風刺、ドタバタブラックコメディー、そしてなぜか文芸評論理論の入門書が悪魔合体したという奇天烈な一品。とりあえずT・イーグルトンの「文学とは何か」を今年度中に読みたい。
自分が今まで読んだ中での筒井康隆の最高傑作の双璧の片割れ(もう一つは「パプリカ」)。筒井さんの小説は全ての既存の枠組みから逸脱しようという意思が感じられて、次に何が起きるか本当に予測できなくて楽しいです。
ちなみに、2015年発売のマイベスト漫画は
室井大資「秋津」
野田サトル「ゴールデンカムイ」
阿部共実「死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々」
でした。今年こそはもっと漫画を沢山楽しめればと思います。